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【地域資源をフル活用した新しい観光様式】いま話題の「まちやど」とは

まちやどサムネ

今回の記事では、新たな観光の取り組みとして、人口減少・少子高齢化社会のいま注目されている施策「まちやど」について解説していきます。

目次

「まちやど」とは

「まちやど」は、まち全体を一つのホテルと見立て、まちぐるみで宿泊客をもてなす観光形態のことを言います。街中にある各小規模ホテルと地域の日常(飲食店、銭湯など)をつなぎ、地域に根差した観光体験を作りだします。

「まちやど」の拠点となるのは、主に“分散型ホテル”と呼ばれる宿泊施設です。街中に点在する空き家・空き室をリノベーションし、ネットワーク化して一つのホテルとして営業しています。

まちやどのイメージ(和合作成)
まちやどのイメージ(和合作成)

「まちやど」の特徴

「まちやど」の特徴は、街の中にすでにある資源や地域の事業者をつなぎ合わせ、そこにあるローカルな日常を最大のコンテンツとしている点です。

利用者は、「まちやど」に泊まることで地域固有の宿泊体験ができます。上辺だけの観光ではない、 “地域に密着した観光”という新しい旅のスタイルです。

また、街の住人や地域の事業者には新たな活躍の場や、事業機会が生まれるので、地域価値の向上につながります。

宿泊

泊まるのは、古民家をリノベーションした物件。そのエリアの歴史を肌で体感。

食事

人気の喫茶店やレストランで食事。地元の人御用達のお店や、裏メニューも楽しめます。

お風呂

お風呂は地元の方々に愛される銭湯で。

「まちやど」は日本の本来のツーリズム

「まちやど」は、日本の本来のツーリズム、特に近代以前の形に近いといわれます。

街道沿いの宿場町は、「泊まる場所」「食べる場所」「お風呂に入る場所」など様々な要素が集まって構成されていました。これを現代版として再現したのが「まちやど」という旅行様式なのです。

「まちやど」についてわかりやすく解説している動画

「まちやど」のもたらす効果

地域の活性化・地方創生

「まちやど」は地域の活性化や再生に寄与します。商店街の空き店舗・街の空き家・マンションの空き室を利用するという発想は、人口減少社会の中で起きる「空き家問題」「遊休不動産」の解決策としても有効だからです。

日本では、2019年時点の総住宅数846万戸に占める空き家の割合が、13.6%に及ぶと総務省から発表されています。この数字は、増加傾向にあるにも関わらず、空き家の利活用は進まず、新しい住宅の着工は増え続けているのです。

空き家の増加は、不法侵入などによる犯罪リスクや、耐震基準外であるがゆえの災害リスクの増大という可能性を孕んでおり、対策は急務となっています。

そうした空き家・空き店舗等を「まちやど」として活用することで、シャッター通りをなくすだけではなく、街の外から人を呼び込むことができます。「まちやど」の利用客が商店街で買い物をしたり、地域の喫茶店や銭湯を利用したりすることで街自体が活性化し、人と経済の新しい流れを作り出すことが可能になるのです。

また、少子化や税金の関係で存続が難しくなっていた地方の歴史的、文化的建造物を「まちやど」として利用することで、新たな価値を生み出し、保存継承につながります。

トレンドスポット化

「まちやど」は「非日常感」を味わえるため、観光地としてトレンドスポットになり得ます。

歴史的な地域の「まちやど」であれば、歴史文化に身を置くという他に類のない特別な体験ができます。また、都市部であれば、普段の日常とは違ったコミュニケーションが生まれ、今までにない新しい体験ができるのです。

「まちやど」のメリット・デメリット

メリット

事業者
  • 地域や地元経済の活性化が期待できる
  • 歴史的建築物の保存継承を促す
  • ゲストへ特別な価値の提供ができる
  • 価値のある空き家を利活用することができる
  • 遊休不動産を収益化できる
利用者
  • 特別な空間で、非日常感を味わうことができる
  • 地元の人との関わりが多く、その地域で暮らしているような気分を味わえる
  • 外国人にとって、日本の歴史・文化・生活を肌で感じられる
  • 一棟貸しが多く、気を使わずゆっくりと過ごすことができる
  • 一棟貸しが多いので、家族やグループで利用できる
  • 一棟貸しの場合、感染症対策になる

デメリット

事業者
  • 空き家、施設同士の連携やネットワーク構築が必要
  • 外部のコンサルや業者が地域の関係を荒らす可能性もある
  • 計画から営業・運営までに時間がかかる場合もある
  • 自治体や地域の理解、協力が必要
  • 条例改正が必要な場合がある
利用者
  • コンセプトを理解していないゲストにとっては価値を感じない場合もある
  • 移動が多く、天気の悪い日などは不便さを感じることがある
  • フロントや食事をとる場所が違うなど、面倒と感じることもある
  • 古い建物特有の不便さなど小さなお子様やお年寄りには向かないこともある
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この記事を書いた人

和合 大樹のアバター 和合 大樹 WAGO PLANNING代表

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