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イスラエルVSパレスチナ、衝突の理由とは―聖地を取り巻く情勢を徹底解剖

イスラエル

2021年5月20日、イスラエルガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの紛争が一時停戦で合意され、21日から停戦が始まりました。

現在の焦点は、この停戦がどこまで守られるかという事になっておりますが、そもそも何故今回の紛争が起こったのでしょうか。

以前のブログで、パレスチナ問題とその歴史的経緯について振り返りましたので、この記事以降では現在にフォーカスし、この紛争とその周りで渦巻く各勢力の思惑について考えて行きます。

関連:始まりは3000年前?!パレスチナ問題を巡る歴史的経緯をわかりやすく解説 | Wagoo! (taiki-wago.com)

今回の衝突の原因は何か

今回のイスラエルとハマスの衝突のきっかけと指摘されているのは、東エルサレムにおけるパレスチナ人強制立ち退き問題です。

この地区で、複数のパレスチナ人世帯が、イスラエル側の法律に基づいて立ち退きを求められました。

そして、イスラエル最高裁が5月10日に立ち退きを命じる判決を出すと想定されていたため(後に混乱の拡大で判決を延期)、パレスチナ人の抗議活動が激しくなり、イスラエル当局の取り締まりが強化され、緊張が高まっていったのです。

この緊張と騒乱は、旧市街にあるイスラム教の聖地であるアルアクサ・モスク周辺に拡大していき、パレスチナ人とイスラエル警察との武力衝突を経て、東エルサレムとは遠く離れたガザ空爆へと繋がっていきました。

争いの火種「入植地」問題とは

第三次中東戦争において、イスラエル軍パレスチナ全土を支配した後、2005年ガザ地区からは撤退したという話は以前のブログで解説しました。

しかし、実はイスラエルは、まだ東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区を実質的に支配しているという現状があります。

そしてそのエリアでは、パレスチナ人を追い出した上で、「入植地」と呼ばれるユダヤ人専用の住宅街を作る事によって住民構成を変えるという政策を行ってきました。

「入植地」の建設は、イスラエルの法制度上は合法だとされています。

しかし一方で、日本を含む国際社会の大勢は、これは違法であるという考えです

※アメリカのトランプ政権は認める方向に転換。

こうしてアメリカの強い後ろ盾を得たイスラエルは、東エルサレムとヨルダン川西岸地区で徐々に入植地を広げており、入植地で暮らすユダヤ人は既に40万人を超えていると言います。

イスラエル
イスラエルの街並み

東エルサレムでの緊張が、遠く離れたガザ地区の空爆に繋がる理由

では、なぜ東エルサレムで起きた問題が、遠く離れたガザ地区への攻撃へと繋がっていくのでしょうか。

イスラエル
外務省HPより引用

これには、各勢力の政治的な情勢が起因していると言えそうです。

一枚岩になれないパレスチナ

パレスチナと言うと、パレスチナ人がイスラム教徒もキリスト教徒も一丸となってイスラエルに対抗しているイメージがありますが、実はそうではありません。

様々な政党が存在し、中でも2つの政党が大きな力を握っています。

政治に宗教を持ち込まない「世俗主義」で、パレスチナ政治勢力の主流派だった組織「ファタハ」と、イスラム原理主義「ハマス」です。

ファタハは、かつてアラファト議長(PLO)が主導した「オスロ合意」を尊重する立場を維持してきた勢力です。

※オスロ合意:土地と和平を交換することを基本理念とする1993年の和平合意

このオスロ合意に基づいてパレスチナ自治政府が作られた経緯があります。

しかし、長期に渡ってパレスチナで権力を握ってきたが故の腐敗や、和平への展望の不透明さなどから、ファタハは支持が低迷しているのが現状です。

一方でハマスは、イスラム教スンニ派の教えに基づいて政治や社会を改善していくべきという「イスラム主義」を掲げています。

故にパレスチナ人の中のキリスト教徒は、ハマスを警戒しているのです。

ハマスはファタハを「イスラエルに妥協した」と批判しており、武力衝突も辞さない考えを示しています。

そうした姿勢は、政治部門を持つ政党であると同時に軍事部門も保有している所からも明白です。

また、それと合わせて貧しい人々への食糧支援なども行い、地道に支持を集めてきました。

2006年のパレスチナ総選挙ではハマスが議会の過半数を獲得し、結局は両党の軍事衝突に発展した事によって、ハマスがガザ地区からファタハを追放した経緯があります。

こうしてパレスチナは、ヨルダン川西岸の自治政府(ファタハ)と、ガザ地区のハマスに分裂した状態が続いているのです。

ハマスの武力行使とイスラエルの報復

ガザ地区を実効支配するハマスは、イランなどの支援を受けて、ロケット弾を開発・製造し、蓄積していると言います。

そして、4月下旬からエルサレム周辺の「入植地」問題で高まった緊張と混乱のさなか、ハマスはイスラエル当局のアルアクサ・モスクへの侵入は「超えてはならない一線」と警告。

止めない場合、ロケット弾を発射するとの声明を出しました。

そしてイスラエルが、第三次中東戦争で東エルサレムなどを占領した記念日に当たる5月10日、実際にガザ地区からロケット弾を発射しました。

それに対して、イスラエル軍はすぐにガザ地区のハマスの拠点などを空爆して報復

ハマス側はさらに1000発近いロケット弾をテルアビブやイスラエル南部などに発射。イスラエルも空爆を強化し、衝突がエスカレートしていったのです。

まとめ

今回は、現在停戦中のイスラエルとハマスの衝突の原因を見ていきました。

パレスチナの歴史を振り返り、東エルサレムでのいざこざから今回の衝突に繋がった経緯を見ていく事によって、中東情勢の理解を少しずつ深めて頂ければと思います。

関連:始まりは3000年前?!パレスチナ問題を巡る歴史的経緯をわかりやすく解説 | TAIKI BLOG (taiki-wago.com)

参考:イスラエルとパレスチナの衝突激化はなぜ? イチからわかる中東問題10のポイント

参考:情報BOX:エルサレムの衝突、ガザでの大規模戦闘に発展した理由




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TAIKI
1999年、川崎市出身の大学生。明治大学文学部在学。趣味は歴史研究、読書、旅行。若者の政治参加推進を掲げて幅広く活動しながら、参議院議員の音喜多駿に憧れ、政治について勉強中。雑記ブログを2019年10月7日より毎日更新中。2020年10月、赤羽でBARをスタート。地元PRメディア「なかはらPR」を一人で運営。