聞いた事はあるけどよくわからない経済指標
皆さんは、国の経済力を測る基準って何かわかりますか?
かつては、今でいう国富のようにどれだけ富を蓄積しているかが重要でした。
例えば、16世紀のスペインなどは植民地を獲得し、金や銀を大量に入手する事で経済力を高め、世界の覇権を握りました。
しかし18世紀以降(近代経済学)になると、GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)が国の経済力を測る指標となっていきます。
このアルファベット3文字の経済指標ですが、聞いた事はあるけど「説明してください」と言われると中々難しいですよね。
そこで今回は、わかりやすく経済指標について解説して行きます!
国富
国富とは、ある時点において国全体(政府、家計、企業)でどれだけの富を蓄積しているかを示す指標で、実物資産(有形資産)と対外純資産の合計で表されます。
実物資産には、土地、建物、設備(住宅、工場、鉄道など)や地下資源、森林、漁場が含まれます。
また、対外純資産は日本の政府、企業、個人が外国に保有する資産から外国が日本に保有する資産を差し引いたものです。

GDP(国内総生産)
GDPとは国内で生み出された生産額の事であり、正確には「一国内における居住者が一定期間に生産した財(モノ)・サービスの付加価値の合計」と定義されます。
経済活動の結果である財やサービスには、原材料など生産物を生産するために使われる中間生産物(中間財)も含まれています。
例えば、パンを作る為の小麦や小麦粉がこれにあたり、GDPを計算するにあたってはこれを控除する必要があります。
何故ならば、GDPを求める際に、製粉会社の小麦粉には農家の小麦の生産、製パン会社のパンには小麦粉の生産が含まれているので、これを単純計算すると二重計算になってしまうからです。
また付加価値とは労働によって付け足された価値の事ですが、市場で取引されない経済活動はGDPに含まれません。
例えば投資活動による利息、配当、ボランティア、家事などが代表例です。
しかし、農家の自家消費などはGDP計算に帰属します。

国富とGDPの違い
これらの違いは経済活動の捉え方にあります。
国富はある一時点において保有する、つまり過去から積み重ねられた富の量を測ったもので、「ストック」(蓄積)の概念です。
これに対しGDPは「フロー」の集計であり、ある一定期間に生まれた付加価値の合計と定義されています。

GNP(国民総生産)
GDPは「国内総生産」でしたが、GNPは「国民総生産」と呼ばれるものです。
両者の違いを理解するポイントは、経済学上の「国民」と「国内」の意味を理解する事です。
海外で自国民(自国の企業)が生産した財については、その国のGNPに含まれますがGDPには含まれません。
また、国内で外国人が生産した財についてはその国のGDPで計上されますがGNPでは計算されません。
実際にGNPを計算するには、GDPにその国の国民(企業)が外国で受け取った所得を加え、その国で働く外国人(企業)に支払われた所得を差し引きます。
また、外国から受け取った所得から外国へ支払った所得を引いた所得の事を、海外からの純所得と言います。
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GNPを採用してしまうと、多国籍企業の海外事業の分も計算しなければならず、その国の経済規模の実態を的確に測れるとは言いがたいのです。

GDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)を比較すると、その国の外国への投資活動(対外投資)や、その国に対して行われている投資活動(対内投資)の実態がわかります。
現在の日本のようにGNPがGDPより大きい場合には、日本企業の海外進出が進み、海外での生産量が増加している場合や、日本人が外国企業に投資をした結果、利子や配当の支払いが増えている場合が考えられます。
逆に外資系企業の日本進出が活発になれば、GDPがGNPを上回る要因となります。
NNP(国民純生産)
NNP(国民純生産)とは、GNP(国民総生産)から固定資本減耗(減価償却)を差し引いた額のことを指します。

これは、機械、設備、建物などの固定資本が消耗した価値を評価したものです。
生産活動によって生産に使われた固定資本は時間が経てばいつか消耗して使えなくなってしまいます。
つまり、その価値は徐々に喪失していくという事です。
仮にある国が10年使える100万円の機械を生産したとすると、10年後に壊れて機械の価値が0になるのではなく、経済学では1年間に10万円ずつ価値が低下していくと考えます。
その額(10万円)が固定資本減耗に相当します。
この場合、この国のGNPは100万円、NNPは90万円となります。
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NI(国民所得)
NI(国民所得)とは、GNI(国民総所得)と違って家計、企業、政府のうち家計と企業に焦点を当てて、「雇用者所得」と「営業余剰」を足したものです。
つまり、NNP(国民純生産)から政府の所得に相当する「間接税−補助金」を引いた式となります。


この三面とは、生産、支出、分配(所得)を指します。
GNP(国民総生産)とは国民経済を生産面から測ったものでしたが、同じように支出面と所得面で国の経済活動を捉えても、事後的にはこの3つの値は等しくなるのです。
まず、経済学の前提として、生産と支出について「生産されたモノは、必ず誰かが買う」とみなします。



次に生産と分配においては、「生産された付加価値は、必ず誰かの所得となって分配される」という考え方をします。
これは働いている人の賃金(雇用者所得)や、営業利益としての企業の利益(営業余剰)となります。
このように、経済活動による生産額の総計を支出面から計算しても分配(所得)面から計算しても結果は等しくなる「三面等価の原則」が成立します。
つまり、GNP(国民総生産)=GNE(国民総支出)=GNI(国民総所得)となります。
そのためNI(国民所得)はNNP(国民純生産)から計算できるのです。
NIは国民の所得水準を示すのに用いられ、国民の生活を知る上で重要な指標となっています。
最後に
いかがでしたでしょうか。
GDP、GNP、NNP、NIなどは、確かに私生活では使わないので覚えておく必要はないかもしれません。
しかし、我々の住んでいるこの国の経済を理解する上では必要となってくる指標です。
どれが何を表す指標なのか忘れてしまったら、その都度このブログを見て確認して頂ければと思います!
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PROFILE

- ブロガー大学生/バーテンダー
- 1999年生まれ、川崎市出身の大学生。明治大学文学部在学。趣味は歴史研究、読書、旅行。若者の政治参加推進を掲げて幅広く活動しながら、参議院議員の音喜多駿に憧れて政治について勉強中。2019年10月7日よりブログ毎日更新中。2020年10月より赤羽でBARをスタート。
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