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【経済】知っているようでよくわからない、国富、GDP、GNP、NNP、NI

こんにちは。

皆さんは、国の経済力を測る基準って何かわかりますか?
かつては今でいう国富のようにどれだけ富を蓄積しているかが重要でした。
例えば16世紀のスペインなどは植民地を獲得し、金や銀を大量に入手する事で経済力を高め、世界の覇権を握りました。しかし18世紀以降(近代経済学)になるとGNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)が国の経済力を測る指標となっていきます。

・国富

国富とは、ある時点において国全体(政府、家計、企業)でどれだけの富を蓄積しているかを示す指標で、実物資産(有形資産)と対外純資産の合計で表されます。実物資産には、土地、建物、設備(住宅、工場、鉄道など)や地下資源、森林、漁場が含まれます。また、対外純資産は日本の政府、企業、個人が外国に保有する資産から外国が日本に保有する資産を差し引いたものです。日本の対外純資産は、1991年以降世界1位で、現在約2.9兆ドル(1ドル=106円で換算すると約307兆円)もの規模があります。

・GDP(国内総生産)

 

GDPとは国内で生み出された生産額の事であり、正確には「一国内における居住者が一定期間に生産した財(モノ)・サービスの付加価値の合計」と定義されます。

経済活動の結果である財・サービスの生産には、原材料など生産物を生産するために使われる中間生産物(中間財)も含まれています。例えばこれはパンを作る為の小麦や小麦粉にあたり、GDPを計算するにあたってはこれを控除する必要があります。何故ならば、GDPを求める際に、製粉会社の小麦粉には農家の小麦の生産、製パン会社のパンには小麦粉の生産が含まれているので、これを単純計算すると二重計算になってしまうからです。

また付加価値とは労働によって付け足された価値の事ですが、市場で取引されない経済活動はGDPに含まれません。例えば投資活動による利息、配当、ボランティア、家事などが代表例です。しかし、農家の自家消費などはGDP計算に帰属します。

ちなみに日本のGDPは現在世界3位で約516兆円となっており、1位のアメリカと比べると約4倍の差、2位の中国と比べると約2.5倍の差があります。

 

・国富とGDPの違い

これらの違いは経済活動の捉え方にあります。国富はある一時点において保有する、つまり過去から積み重ねられた富の量を測ったもので、これを「ストック」(蓄積)の概念といいます。これに対しGDPは「フロー」の集計であり、ある一定期間に生まれた付加価値の合計と定義されています。

例えば、銀行の預金通帳で、2020年3月18日現在の貯金の残高=ストックの概念で、これに対し2019年3月18日から2020年3月18日までの1年間で預けたお金または引き出したお金がどれくらいかを示すのがフローの概念となります。

・GNP(国民総生産)

 

GDPは「国内総生産」でしたが、GNPは「国民総生産」と呼ばれるものです。両者の違いを理解するポイントは、経済学上の「国民」と「国内」の意味を理解する事です。

海外で自国民(自国の企業)が生産した財については、その国のGNPに含まれますがGDPには含まれません。また国内で外国人が生産した財についてはその国のGDPで計上されるがGNPでは計算されません。

実際にGNPを計算するには、GDPにその国の国民(企業)が外国で受け取った所得(=受取所得)を加え、その国で働く外国人(企業)に支払われた所得(=支払所得)を差し引きます。また、外国からの受取所得から外国への支払所得を引いた所得の事を、海外からの純所得と言います。

 

なんで国の経済規模を示す指標としてGNP(国民総生産)ではなく、GDP(国内総生産)を使うの?

その答えは企業の活動のグローバル化、多国籍化にあります。
GNPを採用してしまうと、多国籍企業の海外事業の分も計算しなければならず、その国の経済規模の実態を的確に測れるとは言いがたいのです。

一方GDP(国内総生産)とGNP(国民総生産)を比較すると、その国の外国への投資活動(対外投資)や、その国に対して行われている投資活動(対内投資)の実態がわかります。
現在の日本のようにGNPがGDPより大きい場合には、日本企業の海外進出が進み、海外での生産量が増加している場合や、日本人が外国企業に投資をした結果、利子や配当の支払いが増えている場合が考えられます。逆に外資系企業の日本進出が活発になればGDPがGNPを上回る要因となります。

 

・NNP(国民純生産)

NNP(国民純生産)とは、GNP(国民総生産)から固定資本減耗を差し引いた額のことを指します。

では固定資本減耗(または減価償却)とは何なのでしょうか。これは、機械、設備、建物などの固定資本が消耗した価値を評価したものです。
生産活動によって生産に使われた固定資本は時間が経てばいつか消耗して使えなくなってしまいます。つまり、その価値は徐々に喪失していくという事です。仮にある国が10年使える100万円の機械を生産したとすると、10年後に壊れて機械の価値が0になるのではなく、経済学では1年間に10万円ずつ価値が低下していくと考えます。その額(10万円)が固定資本減耗に相当します。この場合、この国のGNPは100万円、NNPは90万円となります。

 

・NI(国民所得)

NI(国民所得)とは、GNI(国民総所得)と違って家計、企業、政府のうち家計と企業に焦点を当てて、「雇用者所得」と「営業余剰」を足したものです。つまり、NNP(国民純生産)から政府の所得に相当する「間接税−補助金」を引いた式となります。

なぜ国民純生産から政府の所得を引いた値が国民所得を表すのかというと、これには三面等価の原則というものが適用されているからです。この三面とは、生産、支出、分配(所得)を指す。GNP(国民総生産)とは国民経済を生産面から測ったものでしたが、同じように支出面と所得面で国の経済活動を捉えても、事後的にはこの3つの値は等しくなります。

まず、経済学の前提として、生産と支出について「生産されたモノは、必ず誰かが買う」とみなします。もし売れ残ったモノでも会計上は企業が自ら買うという処理をすることとなる為です(在庫投資)。次に生産と分配においては、「生産された付加価値は、必ず誰かの所得となって分配される」という考え方をします。これは働いている人の賃金(雇用者所得)や、営業利益としての企業の利益(営業余剰)となります。

このように、経済活動による生産額の総計を支出面から計算しても分配(所得)面から計算しても結果は等しくなる三面等価の原則が成立します。
つまり、GNP(国民総生産)=GNE(国民総支出)=GNI(国民総所得)となります。
そのためNI(国民所得)はNNP(国民純生産)から計算できるのです。
NIは国民の所得水準を示すのに用いられ、国民の生活を知る上で重要な指標となっています。

いかがでしたでしょうか。

今回は以上です!




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