僕は今まで、様々な方の政治活動や選挙活動を手伝ってきました。
ビラ配りに演説、地域への挨拶周りにポスター貼りなど・・・。
しかし、このポスター貼りに関して僕はいつも疑問に思っています。
というのも、結局ポスターを多く貼った方が選挙には強いわけで、そうなると資金力や知名度のある候補者が必然的に強くなります。
いくら優秀であったり、新しい価値観を持った候補でも、彼ら彼女らに勝つ為には必死に活動してポスターを貼り、知名度を上げねばなりません。
しかし本来であれば、志と政策立案能力さえあれば誰もが政治家になれる機会があり、なおかつ政策論争によって選挙の勝敗が決まるという環境が理想的です。
ですが、そもそも知名度が無ければ、選挙に受かる確率は低く、政策論争に発展する可能性すら見込めません。
なので政治家は、選挙に勝って政策を実現するために、まずポスターを貼ろうとするのです。
そうすると、政治家は選挙に勝つため、政治活動ばかりに注力するようになってしまい、政策を勉強する時間を作れなくなってしまうことから、質の低い政治家ばかりが誕生してしまいます。
極端な言い方をすれば、政治活動ばかりしている人は馬鹿になりがちなのです。
しかも、これに陥りやすいのは、選挙に弱い地盤・看板・鞄の無い新人候補ばかり。
皮肉にも、2世議員やお金持ち候補の方が選挙に強いため、勉強する時間を確保する事が可能となり、優秀な政治家として活躍するパターンが多いと思います。
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ですがやはり、ポスターの枚数で知名度が変わり、政策論争は二の次になって政治活動の量で選挙の結果が決まってしまうのでは、政治の質は上がりません。
一応付け加えておくと、ここで勘違いして欲しくないのは、もちろん、政治活動をすることは大切だと言うことです。
後援会を拡大したり、集会を開いたり、街頭演説をして、政策を訴えつつも、民意を汲み取ることを怠ってはなりません。
しかしながら、政治家にきちんと勉強時間をとって政策研究をしてもらう為には、最初から候補者の知名度を上げる手助けくらいは、国や自治体がするべきだと思います。
例えば、町内会の掲示板の横やごみ捨て場付近などの目立つ位置に、国や自治体が政治家のポスターや政策などの掲示スポットを作り、政治家の掲示物はそこにしか貼ってはいけないというルールを作るのはどうでしょうか。(サイズは従来のA1やA2よりも、更に小さなものになると思いますが)
これであれば、一般のご家庭に迷惑をかけることもなく、政治家の負担も減らせると思います。
政治家の基本的な知名度も上がれば、選挙において勝敗を決するのは、どれだけ民意を反映した政策を立案することができて、ロジカルかつ情緒的に有権者に対して訴え、共感を得ることができるかという点です。
これが本来、政治や選挙のあるべき姿だと思います。
現在のような、政治活動をとにかく死ぬ程やらないと勝てないという選挙制度は、有権者の政治への関心も、政治そのものの質も落ちて行くばかりではないでしょうか。
政治活動の在り方について、何か政治家の間で議論が起きて欲しいものですね。
【現在の選挙において政治家が陥る悪い流れ】
①政策を実現するためには選挙に勝たねばならない
↓
②選挙に勝つには勉強する間を惜しんで活動しなければならない
↓
③頭は悪くなるばかりで、政策立案能力は落ちる